東レは、2022年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。車載用バッテリーセパレーターフィルムや風力発電用炭素繊維、医療機器などを成長領域と位置付け、生産能力の増強などを進めるほか、新事業の創出も積極化する。22年度に目指す財務目標は、売上高にあたる売上収益(IFRS)が19年度見込み比で2割増の2兆6千億円、営業利益にあたる事業利益が同4割増の1800億円に設定した。

 中期経営計画「プロジェクトAP-G2022」では、地球環境問題や資源エネルギー問題の解決に寄与するGR(グリーンイノベーション)事業、医療の充実や健康寿命に貢献するLI(ライフイノベーション)事業におけるグローバル展開の強化などを掲げた。

 GR事業では自動車用炭素繊維や自動車用樹脂、航空機用炭素繊維、リチウムイオン電池用セパレーターフィルムなどを手掛けている。中計では売上収益目標を同2割増の1兆円とした。

 この推進役の1つと位置付けるのがバッテリーセパレーターフィルムだ。欧州市場を中心に需要拡大が見込めることから、生産能力を約2割増強する。21年にはハンガリーの東レハンガリーが生産設備を新設し工場稼働を始める。

 また、携帯型電子機器、定置用蓄電池などの民生用途は、IoT(モノのインターネット)デバイスでの使用をにらみ開発スピードを加速する。

 風力発電用炭素繊維は、ハンガリーやメキシコ拠点における風力発電翼用ラージトウ炭素繊維に継続的に投資を行い、さらなる事業拡大を目指す。医療機器では心房細動をカテーテルで治療する機器や防護服などに注力する方針だ。

 新事業の創出も進める。20年代に1兆円規模の売り上げを目指す計画で、その1つとして「水素・燃料電池関連材料」を掲げた。水素社会の実現に向け、タンク用炭素繊維やタンクライナー樹脂など、関連製品や技術の研究開発を推進する。