メガサプライヤーとは、自動車メーカーに部品を供給する大手部品メーカー(サプライヤー)のことです。明確な定義はありませんが、年間売上高で1兆5千億円以上、上位10社がメガサプライヤーの1つの基準になります。中でも、ドイツ企業のボッシュやコンチネンタル、日本のデンソーといった上位のメガサプライヤーは、中堅自動車メーカーと同規模の売り上げを誇ります。

 売り上げだけでなく、グローバルに拠点を展開して部品を生産・供給していることや、多様な領域で技術開発を行っていることもメガサプライヤーの特徴です。特に後者はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる先進技術に対応する上で、最も重要な点になります。

 従来は部品メーカーがエンジンやモーター、外装部品などの部品を個々に生産し、自動車メーカーにそれぞれ納めていました。しかし、1990年頃からコスト削減などに向け、部品単体でなく多くの部品を一体化したモジュール化が進みました。CASEの登場で、システムも含めたパッケージ製品の提案が一層重要になってくるとみられます。手掛ける領域が広ければ広いほど、ビジネスのチャンスにつながるためです。最近では、メガサプライヤーが自分たちで自動運転車などのコンセプトカーを製作し、自社の技術を網羅的にアピールすることも増えました。

 競争力を高めるため、自社に足りない技術をM&A(合併と買収)で補填するケースも増えています。昨年には日立製作所系とホンダ系のサプライヤーが統合を発表し、売上高1兆7千億円規模の新たなメガサプライヤーが誕生することになりました。

 資金が比較的潤沢なメガサプライヤーであっても、CASEでの開発費や設備投資が年々増えつつあります。そのため、自社で全てをまかなうのではなく、完成車メーカーや大学、場合によってはライバルの部品メーカーとも協業し、技術を持ち寄って新製品の開発に取り組んでいます。