経済産業省は8日、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが半減した中小・小規模事業者を対象にした「持続化給付金」の算定方法を変更したと発表した。給付額を算出する際、10万円未満を切り捨てる運用としていたが、満額給付できるように改める。梶山弘志大臣が8日夕方会見し、「全額支払うべき」と指示したことを明らかにした。すでに給付したものは後日、差額を支給する。持続化給付金は同日、給付を開始したばかり。事業開始直後に運用を見直すのは異例とみられるが、最大限の給付を実現することで多くの事業者の経営を支えていく方針だ。

 持続化給付金は今年、前年同月から半減以上となった月の売上高を1年間で掛け算し、これを19年の総売上高から差し引き、この範囲内で中小企業に最大200万円、小規模事業者に同100万円を支給する。算定する際、上限額に届いていれば問題ないが、これ以外のケースでは端数切り捨てで、10万円単位で給付する仕組みとなっていた。こうした点に対し、コールセンターなどに見直してほしいとの声が数多く寄せられ、梶山経産相は早急の対応が必要と判断した。

 算定方法を改めるにはシステムの改修が必要になるが、給付自体を遅らせないため、当面は「今のシステムでそのまま流していく」としている。すでに支給を終えたものと合わせ、差額を後日給付する。「運用しながら、どのような手立てが可能か早急に検討する」考えで、差額分の支給のタイミングと合わせ、早期に結論を出す計画だ。

 1日にオンラインでの申請受付を開始した持続化給付金は、初日に約5万6千件の申し込みがあった。大型連休明けの7日時点では累計約50万件に急増するなど、申請が殺到している。このうち、給付初日となった8日には審査を通過した約2万3千件、金額ベースで約280億円分の給付が行われた。