国土交通省は、13日まで期間限定で認めているタクシーでの貨物運送を可能にする特例措置を9月末まで延長する。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が延長されたことに伴うもの。外出自粛を含め、引き続き行動制限が続く地域が少なくない中、さらに拡大が見込まれる個人宅への飲食料品などの小口配送需要に対応していく。同時に、旅客需要が急減しているタクシー事業者の経営の後押しにもつなげる。

 タクシーによる貨物運送の特例措置の延長は8日、赤羽一嘉国交相が閣議後の記者会見で明らかにした。1日時点で全国約900社のタクシー事業者が今回の措置を活用して貨物配送を行っているが、「サービスの利用者だけでなく、事業者からも好評の声が寄せられている」という。しかし、緊急事態宣言が5月末まで延長される中で、旅客需要の回復が遠のくタクシー各社の経営環境は厳しさを増すのは間違いない。そこで、「新たなビジネスモデルとしてタクシー事業の継続を応援していく」と、タクシー業界の要望も踏まえて特例措置の期限延長を決断した。

 また、政府の専門家会議が示した新たな生活様式の実践例の実現に協力していく狙いもある。専門家会議では新型コロナの感染リスクを軽減するため、食事のデリバリーや出前を活用することなどを提案している。赤羽国交相は「生活様式の変化など国民生活に不可欠なサービスの維持、確保につなげる」との考えも示した。

 タクシー事業者が特例措置を受けるには国交省の許可が必要で、引き続き全国の運輸支局などで申請を受け付けていくものとみられる。