ソフトバンクはこのほど、産業技術総合研究所(産総研)と次世代型電池の開発に向けた共同研究を行う契約を締結したと発表した。IoT(モノのインターネット)デバイスや携帯電話基地局などでの活用を想定した質量エネルギー密度(㍗時/㌔㌘)が高く、軽くて容量が大きな電池の開発を目指す。

 産総研は2016年に、資源枯渇の恐れがあるとされるレアメタルを含まない炭素や水素、窒素などの元素で構成した正極活物質の研究を発表した。評価用のコインセルで正極活物質当たりの容量で約430㍉アンペア時/㌘を記録し、高い容量を持つ電池材料になることがわかった。質量エネルギーに換算すると、現行のリチウムイオン電池正極材料の2倍に相当する数値だ。

 また、有機正極を組み込んだ電池構成で試算すると、質量エネルギー密度が400㍗時/㌔㌘以上の電池が制作可能なことを確認した。

 有機正極を活用したこれまでの両者の共同研究では、実用レベルに近いラミネートセルで正極活物質当たりの容量約418㍉アンペア時/㌘を記録した。

 今後は電池の軽量化を目指し、導電助剤や結着剤、電解液をさらに低減させた状態での二次電池として動作検証を実施するほか、正極活物質当たりの容量約800㍉アンペア時/㌘(質量エネルギー密度約600㍗時/㌔㌘)以上を目指して研究を進める。