国土交通省は17日、2021年11月1日以降に販売される国産の新型乗用車に対し、緊急自動ブレーキの搭載を義務づけると発表した。現在すでに生産している車については25年12月1日から義務化し、新型の輸入車に対しては24年6月ごろから適用する。同ブレーキの国際基準に基づき、前方を横断する歩行者を検知してぶつからずに止まるなどの試験に合格した車を型式指定し、販売を認める。17日にパブリックコメントを実施し、来年1月に国内基準を公布する。

 今年6月末に、日本提案の緊急自動ブレーキの国際基準が成立し、来年1月に発効する。前方を時速5㌔㍍で横断する歩行者に対して、同30㌔㍍で接近した際に衝突しないことなどが要件に含まれる。国際基準の発効を受けて、日本の保安基準に適用する。同技術の搭載義務づけは日本が初めてで、欧州では24年から義務化すると見られる。

 日本では新型車について、国産車に対して21年11月1日、輸入車へは24年6月ごろから緊急自動ブレーキの搭載を義務化する。国産継続モデルは25年12月、輸入継続モデルは26年6月ごろから適用し、切り替えまで一定の猶予を持たせる。継続生産車のうち、軽トラックへの搭載義務化は27年9月から始める。

 自動車メーカーからの型式申請を受けて審査し、試験をクリアした車を型式指定する。主な試験項目は①静止する車に対して時速40㌔㍍で走行した時に衝突しないこと②時速60㌔㍍で走行中に、前方を同20㌔㍍で走る車に衝突しないで止まること、③時速30㌔㍍で走行中に同5㌔㍍で横断する歩行者(6歳児相当ダミー)を検知して、ぶつからずに停止すること。

 政府は、相次ぎ発生した重大事故を受け、今年6月に交通安全緊急対策をまとめた。このうち国交省は、緊急自動ブレーキの新車乗用車への義務付けについて年内をめどに結論を出すとしていた。

◆性能認定制度の詳細を公表

 国土交通省は17日、新車の安全対策として今年度内に創設する予定の緊急自動ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置の性能認定制度の詳細を公表した。それぞれ2020年中に自動車メーカーから申請があった車両について審査し、21年度の早期に国交省のホームページで結果を公表する。一定の性能を有する装置について国が認めることで、車を販売する際の新たなセールスポイントとなりそうだ。

 緊急自動ブレーキについては、試験条件を国際基準と比べて若干緩和する。例えば、対歩行者の試験では、時速20㌔㍍で走行中に、同5㌔㍍で横断する歩行者を検知して止まる性能を求め、使用する歩行者ダミーも大人用を用いる。