「二人は一緒だよ。俺もだよ」―。昨今、去り際に潔さがない事例を見掛けると腹心は誰かと見渡す。人は権力に執着しやすい。どのようなトップの交代も少なからず葛藤はあるものだが、進退時期を見誤れば晩節を汚す◆小説「不毛地帯」の完結編で、主人公の壹岐正副社長は、退陣を拒む大門一三社長に自ら辞表を渡して「ご受理下さい…同道させて下さい」と刺し違えで勇退を迫る…