ただ、西川社長は経営トップとしてゴーン元会長の不正を見逃してきた責任に加え、元会長に報酬に関する不正について先頭に立って追求してきただけに、SARに関する不正に関与していたことが明らかになり、社内での求心力の低下は避けられない状況となっていた。このため、社外取締役らは「求心力からして(社内調査結果がまとまった)このタイミングで新しい自動車業界のリーダーに交代するのが適切と判断した」(木村会議長)という。

急きょトップ交代が決定したことから後任の人選が追いついておらず、当面は山内COOがCEO職を代行し、10月末までに指名委員会で正式な後任を決める予定だ。指名委員会はすでに10人程度に候補者を絞り込んでおり、この中には日産関係者に限らず「外国人も女性もルノーの人も、多様な人がいる」という。後任にふさわしい人として「リーダーシップを発揮できて、多くの人を説得できること、成長回復期なので車に詳しい人、世界の自動車産業に詳しいことに加え、ルノー・三菱自動車に対して深い理解と大きな関心のある人」(豊田正和社外取締役・指名委員会委員長)で人選を進める。

指名委員会の委員には、日産との経営統合を目指すルノーのジャンドミニク・スナール会長が委員を務める。西川社長の後任に関してはルノーが神経を尖らせるのは確実で、ルノーやルノーの大株主のフラン政府の横やりで、人選が難航することも予想される。