向井家「家の諭示記」には「心だに誠の道にかないなば、祈らずとても神やまもらん」―とされている。家の継承、家の永久相続のためには誠の道、すなわち、「正直・正路の世渡り」が強く要請されたのである。金銀財宝はあくまで生活のための手段であって、貴いものではなく、貴いものは心の正しいあり方である。不実の商いを排して、「売りて仕合せ、買いての幸せこそ商いの本…