住友化学は20日、千葉工場袖ケ浦地区で、独自のプロセスを使ってエタノールから直接プロピレンを製造するパイロットプラントが稼働したと発表した。石油化学産業での原料転換につながる可能性のある独自プロセス技術を実証していく。

 同社が開発したプロセスはエタノールを原料としてエチレンなどを経由せずに一つの工程でプロピレンを直接製造できる技術で、低コスト化が見込まれている。また、次世代エネルギーとして期待されている水素を副生できるため、バイオエタノールを原料とすればバイオ由来の水素をつくれる。

 基礎化学品としてさまざまな用途に使われているプロピレンは国内では主に化石資源のナフサを原料としている。サトウキビやパルプなどのバイオマスから製造できるエタノールは、化石資源から代替できる原料として期待されている。

 同社では今後、パイロットプラントの稼働で各種データの取得を進めるとともに、新しいプロセスで製造したプロピレンを使ったポリプロピレンをマーケティング活動で活用するなどして、2030年代の事業化や他社への技術ライセンス供与を目指す。