各事業者の落札価格は過去最高水準だ
中古車の流通状況に変化の兆しも

 中古車オークション(AA)の平均成約価格が再び高騰している。主要4事業者の2月のAA実績では、ユー・エス・エス(USS)とトヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)が運営するトヨタ・オート・オークション(TAA)が過去最高を更新した。堅調な中古車輸出や根強い小売り需要を背景に、中古車事業者の仕入れ意欲が高まったことが要因だ。一方、昨秋以降は4事業者への出品台数が増加傾向にある。一部に商品車が余っているとの声も出始めており、すべてのAA事業者が現在の落札水準を今後も維持できるかは未知数だ。

 USS、日本中古自動車販売商工組合連合会(JU中商連、海津博理事長)、TAA、シーエーエー(CAA、斉藤啓太社長、愛知県豊田市)の発表を日刊自動車新聞がまとめた。

 2月の成約単価はUSSが前年同月比6.3%増の126万円で、2024年7月に記録した125万6千円の最高値を上回った。TAAも同7.2%増の80万9千円で、初めての80万円台をマーク。CAAも同2.8%増の83万3千円、JU中商連も同6.0%増の43万2千円でそれぞれ、過去最高の24年9月(85万1千円)、同年6月(45万3千円)に肉薄した。

 ある小売り事業者は、「今はここ数年で仕入れ値が最も高い」と語る。小売市場で品不足が続いてきたことで、買い取り相場も高まる傾向にある。相対的にAAへの出品価格も上昇したことで、成約額が高騰した可能性もありそうだ。

 ただ、足元では中古車の流通台数に変化が出ている。AAでも昨秋以降、各会場で出品台数の増加が目立つ。それまで、一部メーカーの認証不正に伴う新車の供給遅れが響き、出品が落ち込んでいた状況から一転。4事業者の総出品台数をみても、24年10月以降、5カ月連続で前年を超えた。

 新車の供給は安定しており、25年2月の新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は、同18.7%増の40万9347台と2カ月連続で上回った。下取り車や買い取り車が想定通りに入庫していけば、AAへの出品台数もさらに拡大。需要と供給のバランスが緩和されれば、成約価格も落ち着く可能性がある。

 「すでに出品車両が〝ダブつき〟つつある」と、あるAA関係者は漏らす。例年、3月後半頃から相場は安定していくと言われる。ただ、2月に成約価格が高騰した反面、下振れ要因も抱えているのが実情だ。中古車事業者は今後の値動きに、注視することになりそうだ。(舩山 知彦)