日本ガイシは、熱交換器や膜装置などを手掛ける独ボージック社の持株会社、ドイチェKNMを2億7千万ユーロ(約432億円)で買収すると発表した。当局の認可を取得後、全株式を取得して子会社化する。同社として最大規模のM&A(合併・買収)となる。新規事業として力を入れる「サブナノセラミック膜」の早期実用化につなげ、2030年には同製品の売上高で約300億円を目指す考えだ。
日本ガイシは、混合ガスや混合液の中から二酸化炭素(CO2)などを分子レベルで分離するサブナノセラミック膜を開発し、脱炭素領域の事業拡大を目指している。ボージック社はVOC(揮発性有機化合物)の有機膜などのノウハウを持ち、高いエンジニアリング技術を持つことから、買収により、サブナノセラミック膜をモジュール(複合部品)化し、CO2回収装置などへ組み込みやすくする。1837年創業で欧州を中心に幅広いネットワークを持つボージック社の販路も生かす。
2月27日、中部経済産業局(名古屋市中区)で会見した小林茂社長は「われわれの製品を社会実装するにはエンジニアリング能力が必要だ。他社と組んだ方が、確実にスピードアップする」と語った。