自民、公明、国民民主の3党は11日の幹事長会談で、ガソリン税(揮発油税)などに上乗せされている「当分の間税率(暫定税率)」を廃止することで一致した。時期や具体的な実施方法は今後、各党の政務調査会長や税制調査会長ら関係者間で協議を進める。
3党の幹事長が2025年度税制改正の方向性について合意書を交わした。合意書には「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は廃止する」と明記した。暫定税率廃止によって、レギュラーガソリンの小売価格は1㍑当たり25.1円引き下がる。廃止時期は明記されなかったが、国民民主の榛葉賀津也幹事長は会談後の会見で「なるべく早く」と述べた。
かつて「道路特定財源」と言われたガソリン税などの本来の税率(本則税率)は1㍑当たり28.7円。しかし、1974年に道路整備の財源不足を理由に暫定税率が設けられて同25.1円を上乗せし、同53.8円の「特例税率」が課せられたという経緯がある。2009年以降、道路特定財源は廃止されたが、特例税率は維持して一般財源に組み込まれ、10年度の税制改正で従来の課税水準が一部を除いて「当分の間」維持されてきた。
ガソリン税などの暫定税率廃止について、国民民主の玉木雄一郎氏は自身のネット配信番組で「(車が生活インフラの)地方経済は元気になり、物流コスト低減による物価引き下げで車を保有していない人にも恩恵がある」と述べた。
一方で「(廃止時期や実施方法など)問題はこれから。われわれはまだ何も得られていないとの認識に立つ必要がある」と話した。政府が先月22日に閣議決定した総合経済対策で、暫定税率の廃止を含むガソリン減税については「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」と明記されたことを踏まえての発言だと思われる。
ガソリン税などの暫定税率の廃止をめぐっては、日本自動車会議所(内山田竹志会長)をはじめ、複数の自動車関係団体がこれまでも政府・与党などに求めてきた。日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)が毎年実施する自動車ユーザーを対象にした「自動車税制に関するアンケート調査」では、9割以上の自動車ユーザーが上乗せされたまま税率が維持されていることに「反対」と回答している。