アイシンは、国内で展開する道路維持管理支援サービス「みちログ」を海外にも広げる。人工知能(AI)が道路舗装面の異常を自動検知して効率的な道路管理を維持するサービスで、愛知県を中心に複数の地域で導入が進んでいる。道路事情は地域によって大きく異なるが、100を超える国と地域でカーナビゲーションシステムを販売する知見を生かし、海外でも同様のサービスを展開する。現在、米国で実証実験を行っており、今後はアジアでの展開も視野に入れる。
12日、愛知県刈谷市で開いた位置情報技術を活用したモビリティサービスの記者説明会で、CSS本部の山下隆二本部長が明らかにした。みちログの海外展開について「現在は実証実験の段階だが、感触をつかんで展開を随時図っていく」と語った。
国内では道路インフラの老朽化に伴い、道路維持管理費用も増加傾向にある。みちログは、自治体のパトロール車やゴミ収集車をはじめタクシーやアイシンが手掛けるオンデマンド交通サービス「チョイソコ」などの車両にカメラと車載機を搭載することで、効率的に道路走行データや画像の収集が可能とする。
AIが道路舗装面のポットホール(くぼみ)やひび割れを自動的に検知し、道路の維持管理業務を大幅に効率化する。2023年4月には「みちログ2・0」に進化し、クラウド上だけでなく車載機側のAIで中間処理を行うエッジコンピューティングによって、クラウド側の負担を軽減できるようにした。
道路維持管理の効率化ニーズは海外でも高い。ただ、国や地域によって舗装面は異なり、道路が損傷する理由も様々で、同様のサービスを提供するには地域の道路事情を熟知する必要がある。アイシンでは海外でも販売するカーナビの知見を生かしつつ、実証実験を通じて地域の道路事情を加味して異常を検知するAIの開発を進めている。