産業技術総合研究所(産総研)と旭化成は3日、ミドリムシ由来の組成物「ミドリムシ接着剤」が、自動車構造材用接着剤として使用可能な接着強度になったことを確認したと発表した。石油由来の接着剤と同等の接着強度を有しつつ、加熱することで容易に解体できる易解体性を持つことが特徴。欧州で義務化が予定されている「使用済み自動車(ELV)規制」などに対応できる技術として、社会実装を目指していく。
ミドリムシ接着剤は、ミドリムシが細胞内に蓄積する多糖(パラミロン)を主成分とする。培養が容易なことから、パラミロンは大量生産、大量供給に適した材料であるとし、産総研は研究開発を進めてきた。
今回両者は、加熱・冷却プロセスを経たミドリムシ接着剤が、2枚のアルミニウム板を強力に接着することを確認した。また、再加熱することで容易に解体できること、複数回の再接着時も接着力を維持できることも併せて確認できたという。
現在、アルミニウムの接着には、石油由来のエポキシ系接着剤が使用されることが多い。エポキシ系は解体時に専用の器具などが必要なため、手間と時間がかかることが難点とされている。ミドリムシ接着剤を用いることで使用済み自動車の解体や部品の再利用も容易になることから、ELV規制などの環境規制に対応できる技術として実用化を目指していく考えだ。