「G63 AMG 6×6」は日本に5台しか入らなかった
「G63 AMG 6×6」の正面から
寄贈された震災支援車両
「G550 4× ■(4に2乗) 」は車高が高い
02年式「G320(ショート)」
初のEV「G580 ウィズEQテクノロジー」

 メルセデス・ベンツ日本(MBJ、ゲルティンガー剛社長、千葉市美浜区)が四輪駆動(4WD)車「Gクラス」初の電気自動車(EV)「G580ウィズEQテクノロジー」の発表に合わせ、過去に取り扱った貴重なモデルを展示した。どんな道でも走れそうな六輪駆動(6WD)車や、東日本大震災に合わせ被災地に寄贈したトラックなどもあった。今のGクラスは価格も2千万円を超え、メルセデス・ベンツ車の中でも最上級の部類に入る。しかし、本来は「ゲレンデヴァーゲン」として軍用車の技術を基に開発された質実剛健なモデル。会場では、この原点を垣間見ることができた。

 「Gクラス45年の歴史と進化を象徴する車を展示した。それぞれが独自の特徴と魅力を持ち、Gクラスのファンやコレクターから愛されている」と、ゲルティンガー社長は10月下旬に新型EVを発表した東京・江東区の会場で胸を張った。そこで、一番大きく目立っていたのは「G63AMG6×6」だ。周囲には人だかりができていた。

 砂漠でも走れるようなコンセプトで造られた6WD車は、世界限定生産車で日本には2014年に5台しか入ってこなかった。排気量5.5㍑のV型8気筒ガソリンエンジンにツインターボを組み合わせ、最高出力は544馬力にも上る。価格は約8千万円だったが、MBJの担当者によると、Gクラスのオーナーの中にはこのような特殊な車を集めているコレクターが目立つようだ。

 11年の東日本大震災の時に寄贈した「震災支援車両」もあった。同3㍑のディーゼルエンジンを搭載し、トラックとしたタイプ。復興支援のために寄贈した1台で、実際に被災地で物資の運搬などに使われたという。MBJでも当時、茨城県日立市の納車前整備(PDI)センターが被害を受けた。

 「G550 4×■(4に2乗)」は、やや見上げるくらい車高が高いモデルだ。16年に日本でも発売した。悪路での走破性を高めているのが特徴で、特別なショックアブソーバーを採用しているという。同4㍑のV8ツインターボで、価格は約3500万円もしていた。

 一方、こぢんまりとたたずんでいたのは、02年式の「G320(ショート)」。2ドアの車体に、同3.2㍑のガソリンエンジンを搭載。最新のGクラスと比べると、クラシックな雰囲気もあった。

 Gクラスは1979年にゲレンデヴァーゲンとしてデビューし、94年に現在の車名になった。オーストリアの車体メーカーであるマグナ・シュタイヤーで生産している。

(編集委員・小山田 研慈)