「2024年問題」に直面する物流業の倒産も増えている

 帝国データバンクがまとめた2024年上半期(1月~6月)の人手不足倒産の動向調査によると、人手不足倒産件数は182件で、前年同期に比べ1.65倍に増えた。13年以降の最多件数を2期連続で更新した。特に4月から時間外労働の上限規制が適用された建設業や物流業の倒産件数が目立つという。

 従業員の退職、採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産は過去最多を上回るペースで推移している。企業規模別では「従業員数10人未満」の小規模事業者の倒産件数が最多で143件だった。全体の8割を占めた。

 産業別では、4月から時間外労働の上限規制が適用された運転業務や建設業務を生業とする企業の倒産が多い。建設業の倒産件数は53件、物流業の倒産件数は27件で、いずれも上半期としては過去最多となった。

 物流業の人手不足倒産は、前年同期の15件からほぼ倍増した。帝国データバンクは「多くの産業が関わるバリューチェーンのなかで、基盤となる物流業に支障が生じれば、対応に追われる必要性も増してくる」と指摘した。実際、すでに62.7%の企業が「2024年問題に際して物流面の対応を行う」と答えている。

 依然として人手不足感は強いものの、5月の労働力調査(厚生労働省)によると、就業者数は6766万人で、22カ月連続で前年同月を上回った。ただ、転職などの希望者数も1千万人超と過去最多を更新するなど労働市場の流動性も高まっており、就業条件や待遇、やりがいなどにより、企業が労働者から容易に見切りをつけられる時代にもなった。帝国データバンクは「今後も小規模事業者を中心に倒産に追い込まれるケースが増加する可能性がある」と指摘している。