台湾の展示会で日本のバイヤーにアピールした

 台湾のバッテリーメーカーである天揚精密科技は今夏をめどに、日本の補修部品市場に参入する。現地で販売しているリチウム鉄を用いた市販用電池を国内でも発売し、鉛電池からの代替需要の獲得を目指す。同等の鉛電池に比べて価格は数倍程度になりそうだが、重量は半減以下に抑えられるとみられる。車重の軽減につながることから、環境負荷を抑制できる製品として個人のほか、運輸関連など法人向けもターゲットに販売拡大を目指す。すでに、国内販売を担う代理店の選定が進んでおり、正式な契約を経て日本向けの製品の供給を始める見通しだ。

 同社は2022年に、台湾で発売した「Bパワー」を日本に持ち込む。リチウムイオン電池に比べてコストが抑えられるリチウム鉄方式を採用するが、充放電特性に優れるスーパーキャパシタを組み合わせることで高性能化を図ったという。軽量化につながる利点もあり、例えば商用車で使われることが多い「D31」規格では、一般的な鉛電池が20㌔㌘前後あるのに比べ、Bパワーは約9㌔㌘だという。

 ただ、価格競争力では鉛電池が優位であることに変わりはない。同規格のBパワーは、日本で13万円程度での発売を見込んでいる。鉛電池に比べて数倍に開く価格差を、同社は長期保証で補っていく方針。メーカー保証は一般的な鉛電池に比べて長い5年間とするほか、終了後には有償で保証期間の延長にも対応するという。顧客が長く製品を使える環境を整えることで、「定期的に従来品を買い替えるよりもコストを抑えられる」(同社)としている。こうしたメリットを国内ユーザーに幅広く訴えていく考えだ。

 同社はかつて、日本企業向けに電子部品を供給していたが、国内市場で市販製品を発売するのは初めて。台湾では既に一定のシェアを獲得しているとみられ、さらなる拡販に向けて海外市場に目を向けた格好。同社は「国内総生産(GDP)が高い国・地域で販売する」考えで、欧米市場への出荷も検討しているとみられる。