2月5日から6日の関東甲信の大雪の影響で、首都圏を中心に生産拠点を構える自動車メーカー8社の生産に影響した。首都圏では初となる「予防的通行止め」が首都高速道路や東名高速道路などで行われ、部品物流にも影響した。各社、概ね車両の生産を再開したが、物流などでは一部遅延も生じた。今回の大雪に伴う稼働停止は一時的なもので、今後の生産計画への影響は軽微とみられる。
乗用車メーカーでは、ホンダが5日夜から6日の午前中にかけて埼玉製作所の寄居工場(埼玉県寄居町)の稼働を停止した。従業員の安全確保や高速道路の通行止めが解消に向かうことから6日午後の稼働から再開することを決めた。寄居工場では、ミニバン「ステップワゴン」「フリード」やSUV「ZR-V」などを生産している。
日産自動車は、車両生産を手がける栃木工場(栃木県上三川町)と追浜工場(神奈川県横須賀市)、エンジンユニットなどを生産する横浜工場(横浜市神奈川区)で5日午後から操業停止。6日午後までに停止していた3工場の稼働を再開した。
群馬県に完成車工場を構えるスバルは、群馬製作所の本工場(群馬県太田市)や矢島工場(同)の2直(夜勤)を操業停止したが、従業員の安全が確保されたことから6日昼ごろから生産再開した。
大型車メーカーの生産にも影響した。いすゞ自動車は、大型、中型、小型トラックの車両生産を手がける藤沢工場(神奈川県藤沢市)とエンジンを製造する栃木工場(栃木県栃木市)で5日午後3時から操業を休止した。2直(夜勤)も停止したが、両工場ともに6日は午前から通常通り稼働している。
UDトラックスは、上尾工場(埼玉県上尾市)の稼働を5日午後3時40分から停止した。従業員の出社に遅延があったものの、6日午前9時45分から再開した。同社は、大雪による生産への影響はないとしている。
日野自動車は、羽村工場(東京都羽村市)の第2ラインを除いて国内4工場で5日の2直(午後5時15分~午前2時5分)と、6日の1直(午前6時30分~午後3時20分)を停止した。高速道路などの通行止めの解消が進んだこともあり、6日の2直から再開することを決定した。なお、羽村工場第2ラインは、5、6日ともに豊田自動織機のエンジン認証不正の影響で稼働を停止している。
三菱ふそうトラック・バスは、5日正午からトランスミッションを生産する中津工場(神奈川県愛川町)の稼働を停止した。夜勤についても休止していたが、6日午前8時から再開した。車両生産では、大雪による物流の遅延を受け、大型、中型、小型トラックを生産する川崎製作所(川崎市中原区)の2ラインのうち1ラインを6日午後から、残りの1ラインも同日午後4時から稼働停止することを決めた。川崎製作所の操業は午前8時から午後5時まで。7日以降の稼働は状況を見ながら判断する。
一方、関東に完成車の生産拠点を持たないトヨタ自動車の生産にも影響を与えた。高速道路などの通行止めで物流の停滞の影響を受け、7工場11ライン(日野の工場を含む)の6日1直の稼働を停止した。停止した高岡工場や堤工場(愛知県豊田市)、トヨタ車体の富士松工場(愛知県刈谷市)、トヨタ自動車東日本岩手工場(岩手県金ケ崎町)、宮城大衡工場(宮城県大衡村)の各工場では2直から稼働再開した。ただ、田原工場(愛知県田原市)第1ラインは、6日の2直も停止し、以降の稼働は6日夕方までに判断するとしている。