NEV大手のBYDが新車を積極投入した

 日本の自動車メーカー4社の2023年の中国新車販売は394万3435台(前年比7・7%減)となり、3年連続で前年実績を下回った。総市場は新エネルギー車(NEV)を中心に販売が伸び、3千万台を超えたものの、電気自動車(EV)の投入で出遅れた日本勢は苦戦を強いられている。巻き返しには少なくとも2~3年かかる見通しで、日産やホンダと取引が多い部品メーカーの首脳は「複数の完成車メーカーの生産計画を聞いている限り、24年は23年を下回る可能性すらある」と語った。

 首位のトヨタ自動車は190万7600台(同1・7%減)だった。23年4~9月期の決算会見で宮崎洋一副社長が「台数を確保するとともに価格競争に巻き込まれないようにする」と語ったとおり、燃費改善効果の高いストロングハイブリッド車(HV)を武器に過度な値引き競争とは一線を画すなどして下げ幅を圧縮したが、2年連続の前年割れだった。今後はbZシリーズの売れ行きや、開発体制を再編した効果が注目される。

 ホンダもNEV競争の煽りを受けて123万4181台(同10・1%減)と3年連続のマイナスだった。24年にEVの新工場を立ち上げ、EVの品ぞろえを増やしてシェアを取り戻したい考え。ただ、実績に反映されるのは25年以降になりそうだ。

 日産自動車も5年連続で前年実績を下回る79万3768台(同16・1%減)だった。2023年4~9月期の決算会見で内田誠社長は「一時期よりは(状況は)落ち着いているが、新興メーカーの参入や価格などいろいろな競争が続いている」と語っていた。

 スバルは7886台(同29・7%減)となり、4年連続で減少した。昨年の日刊自動車新聞のインタビューで大崎篤社長は「今は苦戦している中国も電動化でチャンスがめぐってくると思っている」と反転攻勢を誓う。

 24年も総市場の伸びが見込まれる半面、生き残りをかけた激しい販売競争が続きそうだ。比亜迪(BYD)は積極的に新型車を投入する一方、約1千億円を投じて複数の試乗コースを設ける計画を公表した。EVに加え、プラグインハイブリッド車(PHV)も売れ始めた。昨年は3割(31・6%)だったNEV比率はさらに高まりそうだ。

 一方、日本メーカー4社の12月の新車販売台数は45万937台(同14・5%増)となり、3カ月連続で増加した。トヨタが4カ月連続、日産が2カ月連続、ホンダが4カ月連続でそれぞれ増加した。ただ、前年同月が低水準だったことによる反動もあるとみられる。スバルは7カ月連続でマイナスが続いている。

 中国汽車工業協会(CAAM)によると、輸出を含む中国市場の新車販売台数は、3009万4千台(前年比12・0%増)と3年連続で増加した。日本メーカーが苦戦する中、NEVの現地メーカーを中心に台数を伸ばした。12月単月の新車販売台数は315万6千台(前年同月比23・5%増)となり、5カ月連続で増えた。