トヨタ紡織は、持ち運べる小型の低圧水素タンクを用いた燃料電池(FC)アシスト自転車を「ジャパンモビリティショー2023」に初出展した。来年にも実証を始め、水素インフラの普及や法制度の整備をにらみながら2030年頃の製品化を目指す。MaaS(サービスとしてのモビリティ)のライドシェアサービスの「ラストワンマイル」を担う移動手段として、FCシステム単体か自転車としての供給を検討する。

 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」のセパレーターやエアフィルターを手がけてきた量産技術を生かして開発した。水素吸蔵合金タンクは、水素を安全に持ち運べる一方、低温下では水素を供給できなくなる。温める必要があるタンクと冷却の必要があるFCを水冷システムでつなぎ、システム全体を小型化した。

 すでにテストコースで走らせて耐久性などを確認しているという。「エネルギーを貯蔵でき、多様なモビリティに対応できる」(担当者)という水素の利点を生かし、FCモビリティの開発を今後も進める。