三菱重工機械システムは幼稚園などの送迎バス向けに、園児の置き去り防止システムを開発したと発表した。昨年9月、静岡県の幼稚園児が車内で死亡した事故を受け、同社は翌10月から開発に取り組んだ。政府は今年4月から送迎バスへの設置を義務化する方針で、後付け製品として販売するほか、自動車メーカーへ提案している。東京ビッグサイト(東京都江東区)で27日まで開催中の展示会「オートモーティブワールド2023」に参考出展している。
システムは運転席付近に取り付け、センチ波レーダーで約7㍍先までの人の呼吸や心拍を検知する。検知した場合は車外に向けて警告音を発するとともに、メールや無料通信アプリなどで通知するサービスも検討している。
政府は、こうした「園児置き去り防止装置」を4月から送迎バスへの設置を義務化する方針で、国土交通省のガイドラインでセンサーなどによって車内検知を行う「自動検知式」と運転者らに車内確認を促す「降車時確認式」の2種類のシステムを定めている。同社の装置はセンサーでの検知のほか、車両最後部のボタンを押すまで確認を促すアナウンスが流れる仕組みも導入。両方式に対応するとともに、2重チェックで事故を防止する。
レーダーは、バイタルセンサーなどを手がけるサクラテック(酒井文則代表、横浜市港北区)の技術を用いた。両社は約2年前から、立体駐車場での置き去り事故を防ぐシステムの開発に向けて協議してきたという。昨年9月の園児死亡事故を受け、バス車内用のシステムを開発した。実車を使った実験でも子どもの検知ができたという。三菱重工機械システムでは、まずは安全装置の導入を急ぐ幼稚園運営者などへの後付け需要を想定するが、将来の新車装着に向けて自動車メーカーとの協議も進めている。