7日に開いた会見で謝罪する小木曽社長(中央)

日野自動車は10月7日、エンジン認証不正問題に対する経営責任として取締役ら4人の辞任を発表した。不正が始まった2003年以降の社長ら元役員に対しては、報酬の一部自主返納を求める。小木曽聡社長は月額報酬を減額するが、留任して改革を指揮する。また、斉藤鉄夫国土交通大臣に是正命令に対する再発防止策を報告したほか、二度と不正を起こさないための「3つの改革」も公表した。

経営責任の明確化として、7日付で取締役・専務役員の皆川誠生産本部長、久田一郎コーポレート本部長、中根健人事業基盤強化推進室・コンプライアンス推進室担当と、専務役員の長久保賢次技術開発本部長の4人が辞任した。玉木豊久品質本部長は執行職に降職とした。

月額報酬の減額は、小木曽社長が50%を6カ月間、専務役員(本部長)は30%を3カ月間、社外取締役・非常勤取締役は20%を3カ月間とした。また、03年以降の代表取締役など元役員、および調査報告書により今回の問題が生じた企業風土への関与が指摘された元役員に、当時の報酬の一部自主返納を求める。

組織改正では、7日付でコーポレート本部と生産本部を廃止した。ただ、改革に向けた新たな執行体制を検討しており、当面の暫定措置とする。

国土交通省に提出した再発防止報告書では、不正行為の直接的な原因である開発・法規認証のプロセスに対して、すでに講じている再発防止策に加えて、不正の背景となった日野の経営および企業風土の問題に対する抜本的な対策を着実に進めるとした。今後は取締役会ならびに外部専門家を含むコンプライアンス委員会で進ちょくを確認し、監督・支援を行う。実施状況の進ちょくは四半期ごとに国交省に報告する。

8月2日に発表した、3カ月をめどに取りまとめる対策は、3つの改革として策定した。二度と不正を起こさないための改革として、(1)「人財尊重」と「正しい仕事」を実践する経営改革、(2)「人財尊重」を中心に据えた組織風土改革、(3)新しい「日野のクルマづくり」のための構造改革ーに取り組む。

7日に都内で会見した小木曽社長は「二度とこのような過ちを繰り返さない企業を目指す。トップの自分が日々の実践、行動を続けることで全社改革への覚悟を示し、社会への責任を果たしていく」と述べた。

(2022/10/7更新)