2030年に主流となっている電動車はハイブリッド車(HV)または電気自動車(EV)、内燃機関(ICE)のみを搭載した自動車が少数派になるのは40年代以降―。日刊自動車新聞社が、調査・情報分析世界大手のIHSマークイットと共同で実施した「自動車産業の将来展望に関する意識調査2021」で、自動車の電動化が受け入れられている一方、その推移については比較的冷静に見ている傾向が分かった。自動運転車については35年にかけて技術開発をリードする国は「米国」という回答者が最も多く、約半数にのぼった。
この調査では、コロナ禍の影響のほか、電動化や自動運転技術、モビリティサービスについて聞いた。今年6月23日~9月9日までインターネットを通じて実施。37の国と地域から自動車産業に携わる651人から回答を得た。
新型コロナウイルス感染拡大の影響については、比較的前向きにとらえている人が多いようだ。「プラスとマイナスの作用がある」という回答が63%と最も多く、「プラス」という回答も15%あった。「マイナス」という回答は21%となっている。
電動化について、日本政府は35年に販売されるすべての新車を電動化する方針を打ち出している。アジアの多くでも30年に電動車に移行する計画だが、この時主流になっていると思うのは「HV」が40%と最も多く、次いで「EV」が37%、「プラグインハイブリッド車(PHV)」が21%、「燃料電池車(FCV)」は2%だった。HVの比率が高いのは、日本からの回答数が多いことも要因といえる。日本では半数以上がHVと回答している。
一方、ICE搭載車が少数派となるのは「40年代」という回答が45%、「50年代」が33%、「60年代以降」が12%となった。IHSマークイット・グローバル・トランスポート&モビリティ・プラクティスリーダーのトム・デ・ボリーシャワー氏は「今後20~30年でクリーン技術を新たに導入するには、厳しい気候変動への取り組みが原動力になると考えられるが、モビリティの移行には時間と努力が必要であることを示唆している」とみている。
30~50年代に主流になる電源については、半数が「自然(再生可能)エネルギー」と予想している。「原子力」は18%で、水素と化石燃料(ともに15%)を上回っており、重要な役割を果たすと考える人も一定数いるようだ。
50年のカーボンニュートラル達成について「できる」という回答は4分の1にとどまる。「50%達成可能」が50%、「25%達成可能」が17%、「できそうにない」が8%で、どちらかというと否定的であることが明らかになった。
また、自動運転車について、ドイツ、米国、中国、日本の中で技術開発をリードするのはどの国かを聞いた。48%が「米国」と回答。「中国」が28%、「ドイツ」が14%、「日本」は10%だった。ボリーシャワー氏は「米政府の法的スタンスと企業のPR活動が認知度の面で効果を上げている」とする一方で、「ドイツと日本の堅実で着実な計画と法整備を含めた業界支援のアプローチは注目に値する」と分析している。