トヨタ自動車は2日、「ランドクルーザー(300系)」を14年ぶりに全面改良して発売した。伝統の悪路走破性などを高め、旧型車で設定を見送ったディーゼルエンジン車も復活させた。すでに約1万5千台の予約受注を集めている。

 新型車は、フレーム構造を踏襲したトヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー(TNGA)のGA―Fプラットフォームを新採用。ボンネットやルーフ、ドアパネルをアルミ製に変え、高張力鋼板も多用して車体を約200キログラム軽量化した。サスペンション形式は前部ダブルウィッシュボーン/後部トレーリングリンクと旧型を踏襲したが、形状や配置を設計し直した。パワートレインはガソリン(3・5リットルV型6気筒ツインターボ)、ディーゼル(3・3リットルV型6気筒ツインターボ)にそれぞれ10速自動変速機(AT)を組み合わせる。

 タイヤの空転や失速を防ぐ「マルチテレインセレクト」は、従来のブレーキ油圧だけでなく、駆動力やサスペンションを統合制御し「AUTOモード」を追加した。車体前部の映像を、車体下部が透けて見えるように加工してモニターに映す「アンダーフロアビュー機能」もオプションで用意した。

 安全面では最新の「トヨタセーフティセンス」を採用。高負荷に耐える油圧式パワーステアリングに電動式のアクチュエーター(作動器)を追加することで操舵支援などの機能を持たせた。盗難を防ぐため、トヨタ車として「指紋認証スタートスイッチ」も初採用した。

 また今回、電子制御でスタビライザー効果を変える「E―KDSS」や前部デフロックなどの専用装備を付けた「GRスポーツ」をガソリン、ディーゼル車それぞれにグレード設定した。2023年以降の「ダカールラリー」にも参戦予定だ。

 車両価格(消費税込み)は510万~800万円。ガソリン車ベースでは旧型比で最大32万6千円高だ。大量の受注を抱えていることもあり、月販目標は当初の700台から白紙に戻した。新型車はフレームをトヨタの本社工場(愛知県豊田市)で生産し、トヨタ車体の吉原工場(同)で組み立てる。