電動パワーユニット試作品(350kWクラス)

 ヤマハ発動機は12日、高出力タイプの電気自動車(EV)向け電動パワーユニットを開発し、4月から試作開発の受託を開始すると発表した。今回開発したモーターユニットは最大出力が350kWで、減速機やインバーターと一体化した「eアクスル」。モーターの冷却を油冷にすることでサイズをコンパクトにした。スタートアップなどが手がける少量生産のハイパワーEVに4基程度搭載することを想定しており、受注活動を本格化する。

 同社は昨年2月に最高出力35~200kWのEV向けモーターの試作開発受託を開始した。現時点で「問い合わせも多く、具体的に話が進んでいるものもある」(同社)としている。モーターの開発受託の中で、「ハイパーEV」と呼ばれる少量生産で高性能スポーツカー向けのモーターのニーズが強いことから高出力タイプのモーター開発に着手した。

 最大出力350kWのモーターは顧客の要望に合わせて出力や冷却方式を変更できる。二輪車での少量多品種の試験設備や生産技術に加え、高性能スポーツカーのエンジン開発を手がけてきた知見なども生かし、顧客ニーズに対応したモーターを開発した。

 カーボンニュートラル社会の実現に向けた企業の取り組みが世界的に広がる中、自動車の電動化が加速する見通し。同社では、モーターサイクルなどで培ってきた鋳造や加工、組み立てなどの生産技術や試作設備を活用して、需要拡大が見込まれる電動車向けモーター事業に注力して事業拡大を図る。