三菱ふそうトラック・バスは、2039年をめどに内燃機関車の販売をやめて電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に完全シフトする方針を掲げる。物流業界においてもカーボンニュートラルへの対応は必須だが、トラックの電動化では航続距離やインフラなど課題は少なくない。他社に先駆けて量産小型電気トラックを投入した三菱ふそうのハートムット・シック社長に電動車戦略を聞いた。(福井 友則)

 ―国内でも50年までのカーボンニュートラル実現に向けて電動化目標を打ち出す

 「30年代半ばに乗用車をすべて電動車とする政府方針が仮に商用車でも同時期に設定された場合、実現は非常に難しいと思う。誤解してほしくないが、われわれは電動化の技術自体準備はできている。ただ、トラックのユーザー目線で見れば、30年代半ばまでにすべてを電気トラックにするためのビジネスシステムやアプリケーションを用意することは難しいだろう。エネルギーやインフラなど、電動化の実現にはクルマだけという訳にはいかない。都市部の配送などは小型の電気トラックが有効で、30年ごろにはたくさん増えてくるだろう。一方で長距離輸送や建設現場で使うトラックとなると難しい」

 ―ハイブリッド車(HV)で電動化対応するトラックメーカーもあるが

 「EVとFCVで電動化を進める考え方を変えるつもりはない。将来を見据えたビジョンをしっかりと持って投資を行っている。われわれはHVという中間地点ではなく、あくまでEVとFCVにフォーカスしている。もし、政府の電動化目標の設定年度が商用車も早まるのであれば、ダイムラー・トラックの力を借りて目標を到達していきたい」

 ―FCトラックの実用化に向けては

 「今は小型トラック『キャンター』をベースに開発を行っている。グループのダイムラーではFCの開発を30年ほど前から行っており技術は非常に進んでいるが、より大きな投資が必要であることからボルボ・トラックと協力することになった。このFC技術を小型、中型、大型のどのトラックに活用するかはこれから決める」

 ―電動車のつながるサービスはどう考えるか

 「現状のコネクテッドサービスは基本的な機能として車両情報を基に予防整備などのサービスなどを提供している。予防整備は、究極的に整備入庫時間を減らすことが目的であり、そうすることで休車している時間が削減されることになる。また、位置情報や燃費情報などを使ってより効率的な運行を手助けするなど、スマートフォンのように新しいアプリケーションが次々に出てくる。EVについては、バッテリー管理と充電の戦略が重要になってくる。例えば外気温の違いによって、バッテリーをいつどのタイミングで充電するかが変わってくる。EVはコネクテッド機能を活用して非常に戦略的に使わないといけない」

 ―脱炭素を巡ってはバス事業者でもEVを求める声が広がっている

 「グループのダイムラー・トラックには欧州で販売実績がある電動バス『eシターロ』がある。国内市場と状況を見てチャンスがあればぜひ出していきたい」