石塚茂樹会長

 電子情報技術産業協会(JEITA)は16日、電子情報産業の世界生産額が2021年に初の3兆ドル超えを果たすとの見通しを発表した。20年はコロナ禍の影響で微増となる予想だが、今後は第5世代移動通信システム(5G)の普及によるソリューションサービスが大きな成長要因になるとした。オンライン会見に出席した石塚茂樹会長(ソニー代表執行役副会長)は「日系企業はソリューションサービスの核となるソフトウエア開発に力を入れる必要がある」と今後の課題を示した。

 20年の電子情報産業の世界生産額は2兆9727億ドルで過去最高を更新するものの、前年比2%の微増にとどまると見込む。21年の世界生産額については、ITリモートをこれまで以上に活用する動きでソリューションサービスの需要拡大が見込まれるほか、5G対応端末の普及で電子部品・デバイスの伸長が期待できるとして、同7%増の3兆1756億ドルとなる見通しを示した。3兆ドルを超えるのは初となる。ソリューションサービスは20年、21年と過去最高の世界生産額を更新し、初めて1兆ドルを超えると予測する。感染対策を目的とするデジタル活用が追い風になると見る。このほか、電子部品、半導体の世界生産額が21年に過去最高となると見通す。

 20年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は、前年比5%減の35兆1684億円を見込む。感染症対策によりテレワークや遠隔授業の導入が進みパソコンの需要が増加したものの、自動車やスマートフォン向け需要が減少し、電子部品やデバイスの生産額が減少した。

 国内生産額は同5%減の9兆7896億円となる見込み。今後は感染対策の観点から、IoT(モノのインターネット)機器やソリューションサービスの需要拡大、また、5Gや電気自動車(EV)の普及で日系企業の高性能部品に対するニーズが高まると見て、電子部品・デバイスが伸びると見込む。21年の日系企業世界生産額は同3%増の36兆2877億円とプラス成長に転じると見通すほか、国内生産額は同4%増の10兆1453億円と予想する。

 石塚会長は「データ社会に移行する中で、ソリューションサービスは成長分野にほかならない。日系企業は、その核となるソフトウエア開発の強化に加え、スタートアップや業種を超えた連携など、オープンイノベーションに取り組む必要がある」と話した。