新開発したAIの特徴
東芝は、カメラ画像内の乱雑に積み重なった物体の個々の領域をリアルタイムに推定する人工知能(AI)を開発した。物流現場の荷降ろしやピッキング、生産工場のマーシャリングや箱詰めで産業用ロボットによる自動化に生かせる。高価格の3次元センサーを使用した手法よりも導入コストを抑えられるほか、現地での事前学習も不要で、稼働までの時間を短縮できる。2021年度に新開発AIを組み込んだ荷降ろしロボットの市場投入を計画する。
物体の候補を点から推定する物体領域抽出方式を開発した。事前学習したニューラルネットワークで、画素単位で物体の特徴を抽出する。似た特徴を持つ画素同士をまとめて、最も高い精度で物体の領域を推定できる代表点を選び、それを起点として物体の領域を推定する。
従来技術は画像内の物体を長方形で囲み、長方形内に含まれる物体の領域を塗りつぶしていくことで推定していた。ただ、物体同士が重なっていると、物体を囲む長方形がほぼ重なり1つの物体として認識するため、個々の領域を正しく推定できないのが課題だった。新開発AIは、物体を点で捉えることで課題を解消した。従来技術に3次元センサーを組み合わせた手法よりも、計測誤差で世界トップの高性能を実現した。