先端技術の急先鋒として自動運転バスに注目が集まる
複数車両を施設外から監視できるシステムを導入した

 羽田空港に隣接する大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」(東京都大田区)で、自動運転バスの定常運行が始まった。構内の循環バスとして、約700㍍のルートを時速8㌔㍍程度で定期運行する。来訪者であれば無料で乗車できる。車両は無人運転を想定した自動運転バスを一部改造し、日本の法律に適合させた手動運転が可能なバスを使用する。通常のハンドルやブレーキペダルを持たない特別装置自動車が、定常運行するのは国内では初となる。将来的には施設外も含めた循環バスとしての採用も目指す。

 運行するバスは、仏ナビヤの自動運転バス「ナビヤアルマ」を使用する。無人運転がコンセプトでハンドルがないバスだが、日本の公道を走行可能にする装備などを追加している。追加装備による手動運転も可能で、道路運送車両の保安基準第55条による基準緩和認定を取得した車両となる。今回の定常運行に協力するBOLDLY(ボードリー、佐治友基社長CEO、東京都千代田区)が自動運転バスの公道での実証実験にも使用した。

 定常運行には鹿島建設やマクニカ(原一将社長、横浜市港北区)、日本交通(若林泰治社長、東京都千代田区)も協力する。運行管理にはボードリーの運行管理システム「ディスパッチャー」による車両の遠隔監視を導入した。緊急時などに車内との通話が行えるほか、ブレーキを頻発する地点などをログから把握して速度の調整などを行えるようにする。日本交通は、同システムを活用した車両の運行管理と安全確保のための乗務員を提供。運行管理では都内の同社営業所から遠隔監視を実施する。車両のメンテナンスは、輸入・販売を手掛けるマクニカが担当する。

 また、鹿島建設の空間情報データ連携基盤「3Dケイ・フィールド」も活用する。ビーコン(発信機)の使用などで、施設内の人やモビリティ、ロボットなどのリアルタイムな位置情報を集約する。ディスパッチャーとも連携し、施設管理者が車両の位置情報などの運行情報をリアルタイムで確認できるようになる。今後は車両運行管理者業務の効率化などに役立てることを計画している。

 自動運転バスの運行は10時半から13時半と、14時半から16時半の時間帯で行う。乗車定員は11人で、施設訪問者が無料で利用できる。バスに加えて、施設2階のデッキでは、歩行者が混在する中で自律走行低速電動カートの実証実験も期間限定で実施する。電動カートの遠隔監視も日本交通が担当。自動運転車両に対する社会受容性の向上などにつなげる。

 羽田イノベーションシティは、鹿島建設など9社が出資する羽田みらい開発(山口皓章社長、東京都大田区)が運営する。先端技術の研究開発や日本文化の発信拠点として、18日に一部開業した。ロボットやIoT(モノのインターネット)などの導入に向けた実証実験を行うほか、モビリティではデンソーが自動運転技術の研究開発と実車実証のための拠点を構えている。全面開業は2022年を予定する。