欧州自動車工業会(ACEA)が17日発表した3月の欧州連合(EU)26カ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同月比55・1%減の56万7308台と前年を大幅に下回った。域内で新型コロナウイルスの感染が急拡大したことを受け、3月に域内の広範囲にわたって完成車工場が停止したことやロックダウン(都市封鎖)による販売店休業などの影響が出た。工場稼働再開の延長が続き、4月も大幅なマイナスが予想される。

 3月は前月の7・4%減からさらに減少幅が拡大し、3カ月連続のマイナスとなった。3月中旬以降、自動車メーカー各社が相次いで工場の稼働停止に踏み切った。フォルクスワーゲン(VW)は3月17日に、ドイツやスペイン、ポルトガルなど欧州に展開する乗用車工場の稼働を段階的に休止することを表明し、ルノーもフランス国内の全工場の生産停止を決めた。

 加盟国のうち、欧州で感染による死者数が最大となったイタリアは85・4%減の2万8326台。フランスは72・2%減の6万2668台、スペインは69・3%減の3万7644台だった。域内最大市場のドイツは37・7%減の21万5119台と他国に比べて落ち込み幅は小さかったものの、前年同月を下回った。

 メーカー別では、シェアトップのVWグループは46・2減の16万4653台(前年同月は30万6023台)。このうち、VWは50・1%減の7万1793台、アウディは46・8%減の3万2081台、ポルシェは25・4%減の3602台だった。グループPSAは68・1%減の6万8816台、ルノーグループは64・7%減の5万5663台、フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)グループは76・6%減の2万2070台と軒並み前年同月を下回った。

 日系メーカーでは、トヨタ自動車グループが41・2%減の3万3159台で、トヨタ・レクサスブランドともにマイナスとなった。日産自動車は60・3%減の1万3495台、ホンダは67・5%減の2815台だった。

 1~3月の累計販売台数は、前年同期比25・6%減の248万855台だった。