11月の国内新車販売台数は前年同月比12.7%減の38万5859台と、2カ月連続で2桁のマイナスとなった。消費税率が引き上げられた10月の販売は同24.9%減と比べてマイナス幅は縮小した。台風などの自然災害の影響が長引いているのに加え、消費増税による購買意欲の低下が原因と見られ、今後の需要動向は不透明だ。ただ、消費増税前に目立った駆け込み需要が発生しなかっただけに、国内新車市場は厳しい状況が続きそうだ。

過去の消費税率の引き上げでは、増税前の駆け込み需要で新車販売台数が大きく膨み、増税後に反動で市場が急減速した。今回の増税では、10月から自動車税の減税や、新たに導入される環境性能割を1年間、軽減する措置が実施され、需要の平準化対策が実施されてきた。このため、10月の増税後の方が新車を安く購入できる車種もあるといったことも影響し、駆け込み需要は不発に終わった。

消費増税後、自動車税が引き下げられても需要は盛り上がらないどころか、増税による購買意欲の低下を招いている模様だが、業界団体は「消費増税の影響かは分からない」とし、10、11月と2桁のマイナスとなったのは自然災害で受注がストップした地域があり、この影響が長引いているとの見方を示す。ただ、11月の受注状況も苦戦しており、販売の現場では、この状況が続くなら「需要の平準化対策などなしに、駆け込み需要が発生した方がましだった」との声も広がる。

日本自動車販売協会連合会(自販連)が12月2日に発表した11月の新車登録台数は同14.6%減の23万8844台となり、2カ月連続でマイナスとなった。自販連では、前年11月の販売が好調で水準が高かったことや、10月の自然災害の影響で受注が低迷したこと、稼働日が前年同月より1日少なかったことなどが影響したとしている。消費増税の影響については「分からない」としている。

車種別では乗用車が同14.5%減の20万5814台、貨物車が同14.6%減の3万2244台と、ともに2カ月連続マイナスとなった。バスは同23.2%減の786台だった。

ブランド別では「ロッキー」が好調だったダイハツとレクサスを除いて前年割れとなった。特にホンダは11月を予定していた新型「フィット」の投入が2020年2月にずれ込んだ影響もあって同37.5%減の2万0128台と落ち込んだ。マツダは「マツダ3」や「CX-30」の新型車は好調だったが、他のモデルが不振で同30.2%減の1万0540台だった。

トップ交代など、経営の混乱もあって国内販売が低迷している日産は同26.4%減の2万1747台と、12カ月連続マイナスとなった。

また、全国軽自動車協会連合会が12月2日発表した11月の軽自動車販売は同9.4%減の14万7015台と、2カ月連続でマイナスとなった。10月は同22.3%減だったため、減少幅は縮小した。

車種別では乗用車が同5.6%減の10万9922台、貨物車が同19.1%減の3万7093台だった。ブランド別では、日産を除く全ブランドが前年割れとなった。ホンダは電動パーキングブレーキ部品の調達に支障が出ている影響から「N-WGN」の生産を停止していることや、「N-VAN」の新車効果が一巡したことから同23.9%減の2万4228台で、シェアは16.5%にまで低下した。