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国内の新車ディーラーなどで、10月の消費税率引き上げを間近に控えても、国内新車市場で駆け込み需要が発生しないことに戸惑う声が広がっている。販売会社では、今春ごろから駆け込み需要によって前年同期と比べて2~3割増の販売を見込んで、人気モデルを中心に、10月前までに納車する体制などに備えてきたが肩透かしを食ったかっこうだ。駆け込み需要が起こらない理由は今一つ明らかではない。ただ、10月の増税によって消費者の購買意欲が減退し、新車市場が急激に落ち込むことを懸念する声も聞かれる。

消費増税を3カ月後に控えた7月の国内新車販売は前年同月比4.1%増と、前年を上回ったが低い伸び率だった。登録車販売(軽除く)は同6.7%増だったが、軽自動車は小幅ながら前年を割り込んだ。業界では、今年春ごろから消費税率引き上げ前の駆け込み需要が本格化するとの見方が強かった。しかし、フタを開けてみると、国内新車市場は3月が同4.0%減とマイナスで、4月が同3.4%増、5月が同6.5%増となったものの、6月には同0.7%減と再び前年を割り込んだ。

1989年に3%で導入された消費税は1997年に5%、2014年に8%に引き上げられた。2度にわたる消費税率引き上げ前の数カ月の新車需要は、駆け込み需要によって前年度を2割程度上回る水準で推移するなど、市場全体が盛り上がった。それが今回は一転、増税前でも市場は平穏なままだ。