リンクウィズ(参考画像)

パナソニックは6月17日、自律型ロボットシステムのソフトウェアの開発・販売・技術コンサルティングを手がけるスタートアップ企業リンクウィズ(吹野豪代表取締役、静岡県浜松市)と、熱加工現場におけるプロセス改善に向けたソリューションを共同開発する契約を締結したと発表した。同時に、パナソニックはリンクウィズが実施した第三者割当増資に出資した。

リンクウィズは、独自のアルゴリズムを活用した産業用ロボット制御のソフトウェアを開発・販売するスターアップで、2015年に設立された。主要製品である、溶接や塗装などを行うロボット制御ツールソフトウェア「L-ROBOT」と、生産ラインにおける全量検査などを行う自動検査用ソフトウェア「L-QUALIFY」は自動車メーカーなど、大手企業に導入されている。

パナソニックは1957年に溶接事業を開始し、60年以上にわたって自動車、建機、造船業界などに溶接機、溶接ロボットを提供するなど、熱加工事業を展開してきた。今回、社内カンパニーのコネクティッドソリューションズがリンクウィズが持つ自律型ロボットシステムソフトウェアの知見を組み合わせることで、「切断」「溶接」「検査」といった熱加工現場のプロセスの最適化を実現し、人手不足改善、加工品質の向上などの課題に対応する。

生産現場では労働人口の減少や低迷する労働生産性、物流量の急増、働き方改革などを背景に、さまざまな改善や改革が求められている。特に、自動車業界などの熱加工作業の現場では、人材不足によって技能伝承が難航していることや、電気自動車シフトが進む中、軽量、高強度な素材の接合、CSR重視による高品質の長期維持、トレーサビリティの厳格化などが課題になっている。パナソニックは今回の提携で「現場プロセスイノベーション」を推進し、生産現場のトータルインテグレーターを目指すとしている。

一方、パナソニックはリンクウィズがINCJをはじめとする合計6社を引受先とする総額9億円のシリーズBラウンドの第三者割当増資に参画した。