日産自動車は、6月25日開催の定時株主総会での新しい経営体制についてルノーが棄権する意向との書簡が届いた。日産では西川廣人社長名で「ルノーの意向は(日産の)コーポレートガバナンス強化の動きに完全に逆行するものであり、誠に遺憾」とのステートメントを公表した。

日産は、6月25日開催の定時株主総会で指名委員会等設置会社に移行する予定で、定款変更に関する議案で、委員会メンバーの選任に当たってルノーの意向が十分に反映されていないことを理由に議決を棄権するとの書簡が届いたとの報道を「事実」と認めた。
議案については第三者委員を中心とする「ガバナンス改善特別委員会」からの提言をもとに、指名委員会等設置会社に移行することについて、ルノーのジャン・ドミニク・スナール会長を含む日産の全取締役が全会一致で決議した。
日産では取締役会は「ルノー指名による代表者も加わり、議論を尽くし、取締役全員が賛同したにもかかわらず、ルノーからこうした意向が示されたことは大変な驚き。今回のルノーの意向は、コーポレートガバナンス強化の動きに完全に逆行するものであり、誠に遺憾」としている。

その上で日産は、「ガバナンス強化のための指名委員会等設置会社への移行の必要性について理解が得られるよう最善の努力をしていく」としている。
カルロス・ゴーン元会長の不正発覚を機に、ルノーと日産の関係はギクシャクしており、ルノーとFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)の経営統合を巡る一連の騒動もあって、互いの不信感は高まっている。


日産が5月17日に発表した定時株主総会で提案する新しい役員体制は、取締役11人で構成し、このうち、JXTGホールディングスの木村康相談役、日本ミシュランのベルナール・デルマス会長など、社外取締役が7人と過半数を占める。ルノーのスナール会長とルノーのティエリー・ボロレCEO、日産の西川廣人社長、山内康裕COOとルノー側2人、日産側2人で構成する。また、取締役会議長は社外取締役から選任することになっている。
一方、ルノーは日産のCOO以上のポストにルノー出身者が就任すること求めており、新しい役員体制に不満を抱えていた。