9月である。秋らしいことを書こうと思うのだが、こう暑くては何を書いても嘘をついているような気分になってしまう。確かに最近、日が落ちると地虫の声が聞こえ始めたが、いまだに連日、熱帯夜というのでは秋の風情など程遠いと言わざるを得ない◆以前は9月と言えば、刺すような西日の強さや、時折、湧き立つ入道雲や衰えぬ雑草の勢いなどに東京を去りかねている夏を感じは…