金利上昇を背景に、個人向けの自動車リースを取り扱う事業者で、料金を値上げする動きが広がっている。個人客と直接契約する形態の大手リース会社は先行して価格転嫁を進めてきたが、ここにきて、代理店を通じて販売している信販会社系や新車のフランチャイズチェーン(FC)も価格改定に動き始めた。代理店となっているのは、整備専業者や中古車小売り店など中小事業者が少なくなく、値上げしにくかった。上昇幅は月数百円程度にとどまるとみられるが、代理店の営業にも多少の影響が出そう。拡大が続いてきた個人リース市場に水を差す可能性もありそうだ。
リース料は車両の再販価値などさまざまな要素で決定する。この中でも長期にわたって影響する金利の変動は価格競争力を大きく左右するが、これ以外のコストも上昇する中で、リース会社だけの努力では吸収するのが難しくなっている。
信販系のオリコオートリース(OAL、小齋博樹社長、東京都台東区)は6月に、代理店組織「コアラクラブ」で提供しているリース価格を値上げする。同社が金利上昇を理由に価格を改定するのは初めて。同社の幹部は「昨年からの市中金利の上昇が経営に与えるインパクトが大きく、リース料を見直すことにした」と説明する。
新車FCのジョイカルジャパン(早川由紀夫社長、東京都千代田区)も金利上昇を背景に、近く個人リースの料金を改定する見通し。同じく個人向けをメインとしているオートコミュニケーションズ(玉野寛明社長、東京都品川区)も、価格転嫁を検討中だ。
市中金利は、2024年3月に日銀がマイナス金利を解除したことを契機に上昇。代理店主体の信販系や新車チェーンは、リース料の安さを前面に出しているところも少なくない。このため、競合他社に顧客が流れることを警戒し、これまで金利上昇分の転嫁には慎重な姿勢だった。しかし、他のコストも軒並み高まる中で、企業努力だけでは吸収することが困難になっていた。
国内の自動車需要が縮小傾向にある中、個人リース市場は急速に成長してきた。「所有」から「使用」へのユーザーのトレンドの変化も後押ししたほか、サブスクリプション(定額利用)など新たな商品形態も生まれてきたことも大きい。自動車メーカーも本格参入しており、個人リースの認知は広がりつつある。ただ、規模が大きくない事業者では、大手よりも安いリース料を打ち出すことで誘客してきた経緯もある。金利上昇分の転嫁で響く商品力をどのように補っていくのか、各社には成長に向けた攻めの一手も求められそうだ。