販売好調な新型「パトロール」

 日産自動車は、「パトロール」など海外で販売が好調な大型SUVを増産する。日産の国内工場から700人規模の従業員を期間限定で日産車体九州(日車九州、福岡県苅田町)へ派遣する調整に入った。派遣期間は1年程度を見込む。今後の受注動向に合わせ、3直(24時間)体制への切り替えも視野に入れ、増産計画を詰める。日産は今期、米国事業の不振などで営業利益が8割近く減る見通し。人気車種の増産を急ぎ、業績を下支えしたい考えだ。

 日車九州は、主に中東市場向け「パトロール」や北米向け「アルマーダ」、高級ブランド「インフィニティ」の旗艦車種「QX80」など、大型SUVを生産している。いずれも昨年、新型に切り替わり、販売は好調だという。年間生産能力(約12万台)に近いフル操業が続いており、増産には残業時間を増やすか、3直化する必要がある。

 このため、追浜工場(神奈川県横須賀市)や栃木工場(栃木県上三川町)、横浜工場(横浜市神奈川区)などを対象に、部品メーカーとの調整や教育体制が整い次第、従業員を日車九州へ派遣する。生産応援自体は珍しくないが、日産の場合、派遣期間は長くても半年程度が一般的だった。今回は人員が多く、入念に研修するため、派遣期間を1年へと延ばす。習熟度を高めて生産品質を確保する。

 日産は、事業再生計画「ターンアラウンド」で世界生産能力の2割削減と9千人の削減を進める方針。ただ、国内に5拠点ある完成車工場は残し、日車九州以外の工場も今後、新型車の生産などで稼働率を高める計画だ。次世代生産技術を先行導入する栃木工場で働く従業員のノウハウもグループ内に展開し、国内生産の効率化を急ぐ。