中古車販売・買い取りのウィーカーズ(田中慎二郎社長、東京都千代田区)は、整備士をモータースポーツの現場に派遣する取り組みを開始する。同社は今季、「スーパーフォーミュラ(SF)」に参戦するホシノレーシング(星野一義社長、東京都世田谷区)と公式スポンサー契約を締結。このチームのレースメカニックの業務を、ウィーカーズの整備士も担っていく。正確かつ迅速な作業を求められる環境に身を置くことで、整備士としての技能向上に役立てる。一人ひとりのモチベーション向上にもつなげる狙いだ。
旧ビッグモーターの中古車事業を引き継いだウィーカーズは、整備部門の強化にも取り組んでいる。全国の店舗には整備工場を併設しているところも多く、新たな設備も取り入れている。さらに、人的な能力も高めることで、サービス品質をアップさせ、顧客満足(CS)の向上を目指す。この一環で、モータースポーツを活用する。
整備士を派遣するのは、「伊藤忠エネクス チームインパル ウィーカーズ」。現時点で、今季のどのレースを対象にするか、派遣する整備士の人数などは未定だが、田中社長は「店舗の整備工場とレースの世界は異なることも多いが、参考になる部分もあるはず」と期待をかける。
チームインパルは2021年シーズンに、チームとして総合優勝。22年も総合2位となるなど、強豪として知られ、歴史も長い。こうした名門チームに加わることや、根強いファンもいるSFへの参加は整備士として貴重な経験になるのは間違いない。今回の試みが、整備士として働き続けるきっかけになる可能性もありそうだ。
同様の取り組みは2019年から、日産自動車とコンドーレーシング(近藤真彦監督)が「日産メカニックチャレンジ」を行っている。日産系列のディーラー各社の整備士や、日産・自動車大学校(本廣好枝学長)の各校の学生らに「スーパーGT」「スーパー耐久」の整備を経験できる場を設けている。