「オピュレント・ヴェロシティ」
「ソレイ」
ブライアン・ネスビット氏
マイケル・シムコー氏

 ゼネラル・モーターズ(GM)は、7月1日付でグローバルデザイン・チーフを担う執行副社長に、キャデラックのデザイン部門責任者、ブライアン・ネスビット氏が就任すると発表した。42年間にわたりGMグループのデザインをけん引してきたマイケル・シムコー執行副社長からバトンを受け継ぐ。同社8代目のデザイントップとなるネスビット氏は「GMのデザインビジョンのさらなる発展に尽力する」と抱負を述べた。

 ネスビット氏は、キャデラック最新のコンセプト車「オピュレント・ヴェロシティ」と「ソレイ」のデザインをプロデュースした。こうした成果を踏まえて、同社のマーク・ロイス社長は「ブライアンがデザインを率いることには非常に興奮している。キャデラックでの最近の仕事に見られるように、彼の表現力はますます素晴らしく、大胆になってる。彼はその才能と強力なリーダーシップを生かして、われわれを未来に導いてくれるだろう」と期待を述べた。

 これに対しネスビット氏は「GMデザインを率いることを光栄に思う。ここには業界で最も才能を持つ創造的な人々が集まっている。当社と〝GMデザイン〟は勢いを増しており、そのビジョンを実行しながらさらなる発展に尽力していく。新しい技術を特定して採用する最前線の現場に立ち続け、市場投入のスピードを向上させ、将来の顧客のニーズに応えていく」と意欲を語った。

 一方、近年のGMデザインの礎を築いたシムコ―氏は、常に顧客ニーズを中心に据えて、文化を卓越したデザインに植え付けてきた仕事ぶりが高い評価を受けてきた。そして彼の理念を生かした製品を顧客に提供していくために組織を再構築。ミシガン州のGMグローバルテクニカルセンターキャンパス内に置くデザイン旗艦拠点、ウェストスタジオキャンパスの開設をリードするなど、GMの変革を加速させる体制を整えた。

 その上で創造性と先進技術の組み合わせに注力して、電動化や自動運転、ユーザーエクスペリエンスなどの分野でも成長を支えてきた。彼の成果はキャデラック「リリック」、ハマーのEVピックアップトラックおよびSUV、GMC「シエラEV」、シボレー「エキノックスEV」など、数々の賞を受賞した製品群に示される。

 シムコ―氏は自らのキャリアについて「交通の未来を形づくり、自動車デザインを進化させる一員であることは貴重な経験だった。アートと技術の交差点がGMデザインと私たちのビジネスの核心であることを確認しながら仕事を進めた」と振り返る。

 その才能についてロイス社長は「マイケルはビジョナリー(先見の明がある)デザイナーであり、リーダーだ。彼はGMのみならず、世界中の自動車デザインに多大な影響を与えてきた。そのリーダーシップの下、当社は顧客に愛される素晴らしい車づくりを実現してきた。エンジニアリングや製造との深い協力関係を育み、創造性を実際に形にする際の〝限界〟をどんどん押し広げていった」と称えた。

 シムコ―氏は今後のデザインの未来を託すネスビット氏に向けて「GMには世界トップ級のデザイナーと職人がいる。私の仕事は、彼らが生き生きと活躍し、私たちのビジョンを実現できるような環境とツールを提供することだった。ブライアンのリーダーシップの下で、GMデザインが会社を前進させ続けることを確信している。彼とは私のチームの創造的な才能とその可能性に対する信念を共有しており、次世代のGMデザインが自動車の風景にどのように影響を与えるかを見るのが楽しだ」と、エールを送った。

 

〈プロフィル〉ブライアン・ネスビット氏 2001年GM入社、中国デザイン副社長、北米デザイン副社長、欧州デザイン副社長などを経て22年3月グローバルキャデラックデザイン部門責任者(エグゼクティブディレクター)、25年7月GMグローバルデザインチーフ・執行副社長に就任予定