JX金属の電磁波シールドシートの活用例
エンバリオはペダルなどの樹脂採用を働きかける

 自動車の電動化などに対応し、素材軽量化の提案が活発になっている。自動車向けの比重がもともと高かったわけではない企業の進出や、従来は金属代替が難しかった分野への樹脂化の提案が見られるのが特徴だ。部品メーカーとの共創などを通じて製品化を図っている。

 自動車向け軽量素材を強化している一社はJX金属(林陽一社長、東京都港区)。電動化を踏まえ、モビリティに適した電磁波シールドシートを開発し、提案を進めている。樹脂フィルムと銅箔から構成された複合材で軽量なのが特長で、ノイズ発生源全体をすき間なく覆うことができ、幅広い周波数領域のノイズに対応できる。

 半導体関連など高機能素材に注力してきた同社。さらに近年、自動車やドローン向けに、機能を保ちつつ、軽量な素材を提案している。このシートも、さまざまな形状に成形することもでき、用途に合わせて適用しやすい点を訴求している。部品メーカーなど、新しいパートナーも探している。

 素材専門商社のオー・ジー(福井英治社長、大阪市淀川区)は数年前から、機能性樹脂(コンパウンド)の開発や評価ができるグループの体制を構築、自動車向けを柱の一つとして強化している。ペレットなど顆粒状のものを含め、さまざまな素材を自動車部品メーカーに提案している。

 同社はもともと、基盤となる素材などを手掛けてきたが、新しい経営計画では、新たに開拓を目指す分野を5つ設定。その一つとして自動車向けを展開している。高耐熱樹脂や添加剤などを手掛け、自動車部品メーカー向けに、耐熱性が求められるバッテリー周りなどへの提案を図っている。

 自動車向けに強みを持つ企業も、樹脂化を拡大させる提案を進めている。住友ベークライトは電動車向け高機能材料として、電気自動車(EV)用電池向けの耐火材「PM―5820」や、高電圧・高熱下でも各種のユニットに使える樹脂「AM―3800」を開発した。電動アクスルへの樹脂の適用にも取り組んでいる同社。樹脂化を幅広くソリューションとして提案している。

 独エンバリオは、熱マネジメントに加え、従来は金属が基本だったペダルなどに、樹脂化の提案を行っている。海外では採用例があり、日本でも引き合いが出ているという。