上場カー用品小売り2社が発表した2025年3月期の連結決算は、オートバックスセブンが2期ぶり、イエローハットが3期ぶりの増収増益だった。イエローハットは売上高と各利益項目が過去最高を更新。各地で発生した記録的な大雪などの影響で、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンといった冬物用品が好調だった。オートバックスセブンの堀井勇吾社長は12日に開いた決算説明会で、「非常に良い状態で推移した」と振り返った。両社は26年3月期も業績拡大を見込んでおり、オートバックスが売上高で、イエローハットも売上高と各利益項目で過去最高を目指す。
25年3月期は両社とも、カー用品の販売が好調だった。オートバックスセブンでカー用品の卸売りや販売などを手掛ける「オートバックス事業」は売上高が前年比8.1%増の1971億円、セグメント利益が同33.1%増の220億円だった。イエローハットも「カー用品・二輪用品等販売事業」の売上高が同5.4%増の1482億円、セグメント利益は同8.1%増の140億円と伸びを示した。
業績拡大をけん引した一因が、冬物商品だ。気象庁によると、24年12月から25年2月にかけて全国的に低温傾向だったほか、日本海側を中心に大雪となった地域も多かった。このため、スタッドレスタイヤを新調するユーザーが増えた。自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)の統計によると、会員各社のタイヤの売上高が24年12月に前年同月から2割以上伸び、202億円となったことからも裏付けられる。また、通行止めなどに備えてタイヤチェーンを準備するユーザーが少なくなかった。加えて、メンテナンス需要も引き続き堅調に推移したことから、油脂類やバッテリーといった消耗品も安定して売れた。
両社は26年3月期も増収増益を見込んでいる。イエローハットは都市部と比べて自動車の需要が高い地方への店舗出店や電子商取引(EC)での商品展開、二輪車事業などに力を入れる計画。オートバックスセブンも過去最高の売上高を実現し、26年度までの中期経営計画の達成につなげる考えだ。