デンソーは、愛知県刈谷市の本社でグループ社員によるアイデアコンテスト「デンソー夢卵(ムーラン)2024」を開いた。5千件弱の応募から選ばれたアイデアを展示したほか、前回新設した「ソフトウエアチャレンジコンテスト」、小学生が考えた乗り物の絵画を社員が形にした「こどもミライ絵プロジェクト」など、さまざまなプログラムも用意。地域住民なども訪れ、多くの来場者がデンソーグループの社員が描く将来のクルマの可能性に触れていた。
同イベントは、アイデアを形にする過程を通じて創造力を高め、ものづくり企業としての風土を育むことを目的に1991年から2年に1度、開いている。小川幸男実行委員長(乗用サーマルシステム技術3部長)は「従業員のアイデアが湧き出てくるのを後押しするイベントで、アイデアを具現化するところまでセットで行うのが特徴だ」と話す。会場では、センサーで車のドアの開き量を数値化して「ドアパンチ」を防ぐ仕組みや、カメラで運転中のまぶしさを検知して軽減するアイデアなど、日常のひらめきを技術力で形にした展示作品が多く披露された。
ソフトウエア人材の育成を背景に、前回始めたソフトウエアチャレンジコンテストは、専門ではない社員が事前の学習を経てプログラミングに挑戦し、オリジナルのゲームを制作するもの。参加メンバーの一人は「身に付けたソフトの知識が、今後の業務にも役立つ」と話す。
イベントはアイデアコンテストとしての側面に加え、地域貢献や交流の場としての役割も果たしている。例えば、刈谷工科高等学校によるロボット教室や刈谷少年少女発明クラブによる輪ゴム動力車づくりなど、地元の学校や団体が子ども向けに催すプログラムも用意し、地域全体でものづくりや技術への関心を高める場となっている。
こどもミライ絵プロジェクトは、地元の小学生が「世界にやさしい未来の乗りもの」をテーマに考えたアイデアの絵を、デンソーの社員が実現できる形に落とし込んだ。この車両に乗り込んで、シミュレーターで体験できる。コーナー全体がテーマパークのようになっており、家族連れで人気となっていた。
小川実行委員長は「夢卵を通じ、さまざまな部署とつながれることで、次の仕事にも生かせる。今後はより全社で盛り上がれるイベントになるといい」と語った。
(堀 友香)