ミスミグループ本社は、機械加工部品の発注と製造パートナーを結びつける新サービスを提供するEC(電子商取引)サイトを立ち上げた。国内では初めての取り組みで、機械加工部品をワンストップで調達可能になる。製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)では調達部門の取り組みが課題とされるが、新サービスでは製造パートナーを探す手間が大幅に削減可能となる。ミスミでは既存のオンライン機械加工部品調達サービスに加えて、新サービスの提供開始により、これまで以上に取り扱い部品を拡張することで、部品調達の効率化を支援していく狙いだ。
ミスミは、3D図面データなどを入力するだけで機械部品を調達できるAI(人工知能)プラットフォーム「meviy(メビー)」を展開している。25日に発表したECサイト「メビーマーケットプレイス」は、メビーの特徴を活用しながら、サイト上で発注者と製造パートナーを直接結びつけることが特徴となる。
メビーは、顧客数が17万ユーザー、累計3千万件の設計データを取り扱い、国内のオンライン部品調達サービスでは約6割のシェアを持つ。国内を皮切りに中国や韓国、欧米でも展開している。ただ、材質や加工処理の手法など顧客の要望が多様化しているほか、試作を複数先に発注といったニーズが高まっている。このため発注者と製造パートナーを直接つなぐマーケットプレイスを立ち上げた。
マーケットプレイスでは、長年製造業に携わってきたミスミが目利きをして、製造パートナーを選定する方式を採用。現状では約100社が登録しており、さらに拡充する。これにより製造パートナーの機械加工の品質を担保する考えだ。切削・旋盤・板金・3Dプリント・射出成型・溶接・注型など幅広い機械加工部品に対応し、製造可能な材料・表面処理などの組み合わせは1万種類以上を確保した。数量は1個から量産まで応じ、最短1日で出荷する。メビーで対応できない機械加工部品もマーケットプレイスでは対応可能となる。
設計データをアップロードすると、「AIマッチング」により、条件に合致した製造パートナーを自動的にリコメンド。数社を抽出しリスト表示され、選択できる。見積もり回答の早さや見積もり実績数など希望条件に合わせて並び替えもできる。
同社の調査では、新規企業と取引を始めるには、平均で480時間かかるが、マーケットプレイスの利用により一連の業務が0.5時間で完結し、リードタイムを99%削減できると訴求する。また、既存サービスのメビーと利用が重なる部分もあるが、新サービスの導入により「新たな利用や新規先の開拓にもなり、相乗効果が高い」(同社)と判断した。