日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)は、チャイルドシート(ジュニアシート含む)の使用を推奨する身長の目安を、これまでの「140㌢㍍未満」から「150㌢㍍未満」に見直した。福岡市で8月、軽乗用車に乗っていた7歳と5歳の姉妹がシートベルトをしていたにもかかわらず、衝突事故で亡くなった。衝突時にシートベルトで腹部が強く圧迫されたとみられる。この事故の前から推奨身長の見直しを検討していたというJAFは「身長150㌢㍍未満はあくまでも目安であり、重要なのは、子どもの首や腹部にシートベルトがかからないことだ」と強調している。
道路交通法では、6歳未満の幼児を乗せる場合、チャイルドシートの使用が義務づけられている。ただ、子供によって身長や体格は千差万別で、6歳以上でもシートベルトの効果が十分発揮できないケースはもちろん、ベルトが首や腹部にかかって逆に危険な場合がある。
このためJAFでは、6歳以上でも身長140㌢㍍未満の子どもを同乗させる際には、ジュニアシート(背もたれ付きタイプ/ブースタータイプ)の使用を推奨してきた。
この使用推奨身長の目安を12日から150㌢㍍未満に変更した背景には大きく2つの理由がある。一つは、JAFによる調査で、身長140㌢㍍であっても、シートベルトが首にかかる恐れがあることが判明したため。もう1つは、自動車関係団体やチャイルドシートを製造する企業によっても異なっていた使用推奨身長の目安(135㌢㍍未満、140㌢㍍未満、150㌢㍍未満)を協議の上、150㌢㍍未満に統一したことがある。
身長150㌢㍍は、12歳児の平均身長におおむね等しい。JAFは「小学校の高学年になるまでチャイルドシートやジュニアシートを使用することが、子供の安全を確保するために必要だ」と指摘する。
ジュニアシートを使う場合でも、シートベルトの装着を子供任せにせず、同乗する大人が確実に行うことが大切という。走り出した後も姿勢が崩れたりするため、適時、シートベルトが首などにかかっていないか確認することも大事だ。
一方、身長150㌢㍍未満の大人に関しては、子どもと比較して体格や骨格がしっかりしていることや、自身でシートベルトや座席の高さ、背もたれの角度などを調整してベルトを適切に装着できるため「ブースターシートの使用は必要ない」というのがJAFの見解だ。
JAFは12日、報道機関向けにチャイルドシート/ジュニアシートの使用推奨身長引き上げに関する説明会をJAF中央研修センター(東京都多摩市)で開いた。身長(約140㌢㍍、約145㌢㍍、約150㌢㍍)が異なる3人の子役によるジュニアシート使用状況の比較・検証も行った。翌13日には、チャイルドシート使用の有無による車両衝突時の被害を検証した動画と、チャイルドシートの正しい取り付け・着座方法を解説した動画=写真はJAF提供=も公開した。