充放電制御の最適化でEVやPHVのメリットを最大化する

 三菱自動車は、2024年にもコネクテッド技術を使った有償サービスを始める。まず、車両の走行データや卸電力市場の動向をもとに充放電制御を最適化する。充電料金を安価に抑えられるユーザーや、系統電力への負荷が減る電力会社から対価を得る考え。以降もコネクテッド経由のサービスを増やし、車両販売、金融、アフターサービスに次ぐリカーリング(循環)ビジネスとして収益源に育てていく考えだ。

 24年をめどに開始するのは電動車のコネクテッド技術を活用した「スマート充電サービス」。充放電の時間を最適化する既存のサービスは他にもある。多くは通信機能を搭載した充電設備が必要だが、三菱自は、英カルーザ社の人工知能(AI)を活用し、車両側の通信端末だけでサービスを提供する。充電器を問わず、最適な充放電制御を行うことができる。

 充電設備の普及を担う経済産業省は、これから整備する充電器に国際標準通信プロトコル(手順)「OCPP(オープン・チャージ・ポイント・プロトコル)」の搭載を促していく方針だが、普及には時間がかかる。三菱自は、インフラに依存せずに充電を最適制御できる強みを打ち出し、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)のユーザーにコネクテッドサービスのオプションとして利用してもらう。具体的な料金体系を詰めている。

 スマート充電サービスは、23年度に始めた中期経営計画で、将来の収益の柱として強化する方針を掲げたモビリティ事業の一つだ。同事業では、電動車とコネクテッド技術を活用し、エネルギーマネジメントやデータの外販、車載電池の再利用といったアプリケーションを整え、収益化を目指していく。現在は実証段階だが、今回、開始するスマート充電サービスを皮切りに事業化を進め、車両販売、金融、アフターサービスに続く第4の収益に育てる考えだ。