NTTデータエンジニアリングシステムズの東和久社長(左)とNTTデータドイツ法人のイェンツ・クルーガー氏
マツダのR&D戦略企画本部兼MDI&IT本部の足立智彦技監
多様な領域で自動車産業のソフトウェア開発を支える
「東京システムズエンジニアリングサミット2023」では多くのメーカー関係者がNTTデータグループのサービスに興味を示していた
サミットの様子

 SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の領域では、企業間の「協調と競争」の勘案が重要になって来る。協調領域においては、完成車・部品メーカー同士はもちろん、銀行や保険会社、ITベンダーなど自動車産業以外の企業とデータ連携をどこまで進められるかが開発の要となる。NTTデータグループでは、車両開発から充電モニタリングまで幅広い領域で企業のデータ基盤構築を支援しており、すでに多くの完成車メーカーとの実績を持つ。
 12月8日に都内で開催された「東京システムズエンジニアリングサミット2023(prostep ivip主催)」では、NTTデータドイツ法人で自動車のエンジニアリング領域を牽引するイェンツ・クルーガー氏が登壇し、SDVの現状を説明した。同氏によると、ソフトウェアの開発コストは2030年には車両全体の50%を占める見通しで「投資規模に限りがある中小規模の完成車、部品メーカーなどは一定規模、データの横連携が必要になる」と言う。
 一方、日系企業は自前主義にこだわる企業が多いのが現状だ。マツダのR&D戦略企画本部兼MDI&IT本部技監で、デジタル開発の様々な規格策定に取り組むprostep ivip・ボードメンバーでもある足立智彦氏は「欧州はエンジニアリングサービスを提供する企業層に厚みがあり、ベンダーのサポートも強力だ。日本勢は協力してアプリケーション開発におけるフレームワーク(枠組み)の共通化を早々に進めるべきだろう」と提言する。
 実際、自動車メーカーの中では、ミドルウェアにあたるビークルOS(基本ソフト)を自社開発する流れがあるが、膨大な開発コストがかかる割に差別化が難しいため、共通化していくのではとの見方が強い。
 また、自動運転や車両通信の高度化が進めば、個々のシステムが連携して一つの大規模なシステムを構築するシステム・オブ・システムズ(SoS)の構成要素が強くなり、開発領域はチップ単位から高性能コンピュータ―(HPC)へ、電子制御ユニット(ECU)からクラウドへと移行していくことが見込まれる。ソフトウェアをハードから独立させて開発することが必須になる。
 NTTデータグループでは、PLM/ALM全体のコンサルティングや導入支援を手掛けており、トヨタ自動車やホンダ、BMWなど主要完成車メーカーのITベンターを務めているほか、他ドイツOEMにおいて、プロセス・メソッド・ツール(PMT)やモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)、車載ソフトウェア開発等エンジニアリング領域における支援をおこなった。また、シンガポールでは現地企業と組み、電気自動車(EV)用充電器のモニタリングサービスプラットフォームを構築。電力消費量や設備の位置情報、消費者行動などのKPIをリアルタイムで把握できる環境の構築支援を行っている。
 NTTデータエンジニアリングシステムズの東和久社長は、NTTデータグループの最大の強みは「自動車産業だけでなく、金融や小売など他の産業との関わりも強く、橋渡し役を担えること。完成車メーカーや部品メーカーが持つデータの価値を最大化し、新しいサービスを一緒に生み出すパートナーになりたい」と今後の展望を語った。

 同サービスに関する問い合わせ先=NTTデータグループ(グローバルマーケティング&コミュニケーション本部、吉永真介、松澤彩香、global-marketing@kits.nttdata.co.jp)

NTTデータ|モビリティ 国内の取組み
NTTデータ|Automotive  グローバルの取組み(英語サイト)
技術ブログ:技術革新が進む自動車、今注目の「SBOM」でセキュリティ強化!