帝人は7日、中国の炭素繊維複合材料(CFRP)などの自動車向け複合成形材料事業から撤退すると発表した。現地企業、青島科達時代智能装備に全株式を売却する。2024年3月期に約64億円の特別損失を計上する。

 同社は、17年の北米の材料メーカー買収を皮切りに複合成形材料事業に積極投資し、北米や中国のほか欧州などでティア1(一次部品メーカー)として製品を納めている。一方、直近では原材料価格の高騰や、北米での労働力不足の影響を受け収益が悪化。今年2月にはテコ入れのため構造改革案を公表し、収益改善を急いでいた。しかし、特に自動車向け複合成形材料事業は価格転嫁が進まず、中国ではコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響も受けていた。

 内川哲茂社長CEO(最高経営責任者)は、7日に開かれた23年4~6月期決算会見で「欧州、日本での構造改革の検討はしていない。やるべきことは北米にリソースを集中させることだと考えている」と語った。

 帝人の中国における複合成形材料事業(23年3月期)は売上高36億8千万円、営業利益は約19億8700万円の赤字だった。