クロストレック(現行車)

 スバルは、2030年までに国内で売る新車の7割を燃費改善効果の高い「ストロングハイブリッド車」(ストロングHV)にする。水平対向エンジンとトヨタハイブリッドシステム(THS)を組み合わせた次世代「eボクサー」を積んだ「クロストレック」を24年度にも発売し、30年にかけて「フォレスター」など設定車を一気に増やす。残りの3割は電気自動車(EV)にする意向だ。まずは強みの水平対向エンジンで稼ぎ、利益をEVに再投資する。

 ストロングHVは、駆動モーターの出力が大きく、一定の速度や距離をモーターだけで走れるハイブリッド車を指す。これに対し、簡易なモーターで発進時などにエンジンを補助するハイブリッド車を「マイルドHV」と呼ぶ。スバルのeボクサーは現在、マイルドHVだ。

 次世代eボクサーは、スバルに約20%を出資するトヨタ自動車のTHSを水平対向エンジンに組み合わせる。THSは遊星歯車を用い、エンジンとモーターの動力を走行状況に応じて振り分けるエネルギー効率の高さが特徴だ。構造や制御が複雑になるが燃費改善効果が高く、プラグインハイブリッド車(PHV)にも向く。

 スバルとしては、THSを用いることでスバル車の燃費を高め、規制や市場ニーズに対応しつつ、水平対向エンジンによる「走る楽しさ」や全輪駆動技術で他社との差別化を図っていく。

 一方、20年代中盤からはEVの投入も本格化する。25年に「ソルテラ」を大幅改良するほか、新型EVも投入する。28年には大泉工場にEV専用ラインも設置する。ストロングHVの販売で稼いだ利益をEVの開発や生産に充て、電動車シフトを円滑に進めていく。

 スバルは23年度、登録車で約9万1千台(前年度比8.9%増)、軽自動車で約1万3千台(同34.1%減)を国内で販売した。