デンソーは、自社開発の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を活用したエネルギーマネジメントシステムの実証を西尾製作所(愛知県西尾市)で開始し、18日に報道公開した。自動車部品で培った熱マネジメント技術や冷媒噴射装置「エジェクター」の燃料リサイクル技術を応用したもので、今後は世界最高水準の発電効率(65%)を目指す。2024年度にデンソー福島(川島俊哉社長、福島県田村市)に導入後、改良を進めつつ各工場への導入や商品化を進めていく。

 実証システムを西尾製作所の「ポケットパーク」内に設置した。発電出力4・5㌔㍗のSOFC2基を中心に、電気を工場に送電する蓄電池やV2G(ビークル・ツー・グリッド)、太陽光発電パネルで構成する。工場の電力需要に応じて、太陽光発電による電力を貯めた蓄電池やSOFCを統合制御し、効率的なエネルギーマネジメントを実証する。SOFCの燃料となる水素はまず、都市ガスから製造するが、今後は都市ガスとカーボンニュートラル燃料との混合利用や、カーボンニュートラル燃料のみでの実証を目指す。

 サーマルシステム事業グループの栗山直久統括部長は「燃料電池や太陽光、蓄電池などを組み合わせて(需給を)マネジメントし、CO2と電気コストをミニマムにしていきたい」と語った。